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メディアウォッチ (45) 2009年7月5日
光当たる 新たな沖縄 「密約」 裁判の歴史的意義
―注目すべき第1回公判と報道が掘り起こす新事実―
日本ジャーナリスト会議会員 桂 敬 一
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http://www.masrescue9.jp/media/katsura/back_no/katura45.html
↑
>http://www.masrescue9.jp/media/katsura/katsura.html
より抜粋。
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だが、 沖縄返還交渉における 「密約文書」 は、 最終協定締結前に
書かれたにしても、 協定の内容のある部分に関して、 そこはこう書いて
あるが (あるいは何も書いていないが)、 実はこういう風に解釈するのが
双方の約束だと、 最終協定に縛りをかけるものであり、 実質的にその
不可欠な一部をなす体のものではないか。 交渉の途中経過の事情を
示すだけで、 最終協定後は捨て去ってもよい文書などでは、 断じてない。
それが証拠には、 アメリカ側には問題の文書がすべて残っているではないか。
争われているのは個別の問題だぞ。 余計な一般論で説教垂れるとは何だ。
思い上がるな。 お前ら、 高をくくって人を見くびると、 ろくな目に遭わないぞ。
むしゃくしゃしながら、 自分の出番を待っていた。 ところが、 サプライズが
起きた。 原告・被告双方の代理人代表が立って向かい合い、 裁判長の
指示の下、 訴状と答弁書について事務的な確認をすませたのにつづき、
裁判所の事務官が 「それでは原告の意見陳述に移ります」 と述べ、
裁判長が 「はじめに・・・」 と口を切ったので、 いよいよ自分に陳述を始める
よう促すのかと思ったら、 彼は 「私から被告にうかがいたいことがあります」
と話しだしたのだ。
「答弁書の7ページ、 『被告の主張』の項に、 『一般論としては・・・』 と
ありますね」。 裁判長は、 私が腹を立てた当の文章をそっくり読み、
「これは、 ただ一般論としてそういうことだ、 ということですか。 本件に
おける事実関係として廃棄した、 ということですか。 どちらですか」。
私もびっくりしたけれど、 政府側代理人のほうが、 はるかに驚いたのでは
なかったか。 被告席に肩をくっつけ合い、 窮屈そうに座っている老若男女、
19人の政府の指定代理人のなかから、 代表格の白髪頭の男性が立ち
上がって答えだしたが、 「一般的にはそうであり、 本件の場合もあり得る
ことではあり・・・」 と、 狼狽を隠さないまま、 何を言っているのか判然と
しない言い訳をして、 座った。 「それでは、 その点は次回公判で具体的に
お答えください」。
申し訳ないが私は、 そらみろ、 傲慢の罪に天罰が下ったと、 内心快哉を
叫んだ。 だが、 もっと驚くことが生じた。 「つぎに二つ目としてお聞きしたい
ことがあります。 本件において問題の文書が廃棄されたとしたら、 その理由を
納得のいくようにご説明ください。 これも次回、 お願いします」。 裁判長、
そこまでやるかと、 私は驚きを超えて、 彼の顔を呆然と眺めるだけだった。
しかも、 まだつづきがあった。
「原告の訴状等からみて、 原告が、 本件の外交交渉における 『密約』 と
して問題にした文書を、 日本政府が保持していた蓋然性は高いと理解でき
ます。 とくにそれらに対応すると思われる米国側文書が発見されていること
から、 そのように推定できます。 『密約』 というものがないのなら、 日本側が
もっていないとする問題文書に対応する文書を、 なぜアメリカ側はもっている
のでしょうか。 三つ目のお願いは、 その合理的な理由を、 納得できるように
説明していただきたい、 ということです。 次回公判でご説明ください」。
私は、 もはや裁判長を、 感嘆というより、 ほとんど尊敬するまでの気持ちに
なっていた。 裁判長が第1回公判の冒頭でこれだけの疑問点を明快に示し、
その解明をあらかじめ行うとする意向を示すのは、 よほどのことではないか。
公正な審理を尽くそうとする誠実さが感じられた。 こののち、 私は、 裁判長の
指示に従い、 以下の意見陳述を読み上げた。
(中略)
翌6月17日の新聞は、 杉原則彦裁判長のこのような積極的な訴訟指揮に
注目、 まず朝日が、 社会面2番トップ、 5段抜きの扱いで第1回公判の
もようを詳しく報じたほか、 これほど大きな記事ではないが、 毎日、 東京新聞
なども足並みを揃えて報じ、 地方紙も共同通信の配信をもとに、 それぞれ
沖縄 「密約」 裁判の新しい展開について報道した。 もちろん沖縄タイムズ ・
琉球新報の地元2紙は、 独自取材で異例の公判の詳報を、 力を込めて
行った。
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