記者の最近のブログ記事

 ◎検察官との関係2

 

  前に検察官と刑事裁判官の接触の濃さに触れたが、裁判官は中立が原則だ。

 接触が多いからといって、検察側に有利な判決が出る訳ではない。その最たる

 ものが無罪判決だ。検察は100%有罪と確信する事件しか起訴してこなかった

 ので、無罪判決はその仕事を全否定されるに等しい。一方で、裁判官の中には

 無罪判決を出しそうにないタイプもいる。日々傍聴し取材していると何となく

 分かってくる。

  だから、無罪判決を出した裁判官に対し、検察側が悪感情を抱くのも不思議で

 はない。検察幹部の口から、特定の裁判官への批判・不満を非公式に聞くこと

 は少なくない。私がウオッチした地方裁判所にも無罪判決を出す裁判官がいた

 が、検察側は担当替えで敏腕と評価の高い検事をその刑事部にぶつけるシフト

 を敷いた。

  また、裁判官と検察官の組み合わせで、接し方が目に見えて異なることもある。

 前回述べた通り裁判官と検察官は同じ顔ぶれで恒常的に接することが多いが、

 ある裁判官は新人の検察官に厳しく、証拠の要旨の告知などでまだ不慣れな

 その検察官がまごついていると、傍聴人にも分かる不機嫌な口調で注意を

 促す場面が幾度となく見られた。一方で別の裁判官は、やはり新人の検察官が

 ぎこちなくても、笑顔を浮かべ優しく接していた。ちなみにいずれの裁判官も

 男性で、前者の検察官は男性、後者は女性だった。もっとも、いずれの場合も、

 検察官を一人前に育てる指導だったように思えるが。

◎検察官との関係 1

 

 裁判官は中立が原則だ。刑事の裁判官は検察官と弁護人(弁護士)の

 いずれにも距離を保たねばならない。だが、日常の接触は検察官との

 方が圧倒的に濃厚だ。なぜか。
 
 それは検察官と弁護士の数と業務が違うからだ。私がウオッチした

 地方裁判所の管内では、公判を担当する検察官は数人なのに対し、

 弁護士は数百人いる。さらに検察官は刑事事件しか担当しないが、

 弁護士は刑事事件よりもはるかに数の多い民事事件を担当することの

 方が多い。つまり、裁判官の側からみれば、特定の検察官と特定の

 弁護士では審理で顔を合わせる頻度に数十倍から数百倍の差がある。
 
 また、その地裁では刑事は三つの部に分かれており、裁判官はもちろん、

 検察官も部ごとに固定していた。注目されない事件も含めると、刑事裁判官は

 多い日は10件前後を審理する。事件ごとに弁護人は異なるが、裁判官と

 検察官は同じ顔ぶれなのだ。
 
 接触は法廷だけではない。ある時、裁判官室とつながっている書記官室で

 検察官の姿を見た。検察官は書記官と談笑していたが、そこに裁判官が

 通りかかった。さっきまで法廷で四角張った表情でやりとりしていた二人が

 一転、気軽な雑談を交わしていた。